技術コラム
機械加工においてコストダウンを実現する方法
こちらでは機械加工においてコストダウンを実現する方法について、当社のコストダウン事例を踏まえて説明いたします。
機械加工とは
機械加工とは、工作機械を用いて素材を目的の形状に加工することを指します。機械加工の種類は多岐に渡ります。例えば、回転している素材に刃具を当てることにより加工を行う旋盤加工、回転している刃具を材料に当てることにより加工を行うフライス加工などがあります。
機械加工の種類についてはこちらで詳しく述べています。
コストダウンを実現するための3つのポイント
機械加工においてコストダウンを実現するポイントとして、
・加工工程の削減
・素材の見直し
・加工精度の見直し
以上の3つが挙げられます。
それぞれ、1つずつ説明いたします。
加工工程の削減
加工工程の多さは機械加工における費用の高さに直結します。
これは、加工時の人的コストと設備使用コストに加え、切削工具コストや光熱費などの増大によるものです。しかし、安易に加工工程を削減しようとすると、却って品質不良に繋がってしまいます。そのため、加工工程を削減するためには、製品の機能と品質を維持し、公差設定をクリアしつつ、加工を容易にする「設計テクニック」が必要とされます。
設計テクニックの代表的な例として、”ヌスミ加工”というものが挙げられます。これはフライス加工でポケット加工を行う際に用いられます。穴の角にコーナーRを付けるのであれば、フライス加工のみで行うことが可能ですが、角がピン角であると放電加工などを行う必要があり、コストが上がってしまいます。そのため、機能上問題が無ければ、フライス加工で角の部分にヌスミを設けるヌスミ加工を施し、必要精度を維持しつつ、加工工程を削減することが可能となります。
素材の見直し
コストダウンを実現するために、素材の見直しが必要とされます。必要以上に高価な素材を使用していれば、適切な素材に見直す必要があり、過度に大きい素材を使用していれば、完成品の大きさに近い素材に変える必要があります。
加工精度の見直し
必要以上に高い精度は、仕上げ工程の追加による加工時間の増加,仕上げ工具の追加,寸法確認の増加など、費用の高さに直結します。そのため、機械加工においてコストダウンを実現するためには加工精度を見直す必要があります。
例えばフライス加工における隅Rに関しては、隅Rは小さいよりも大きな方が使用エンドミルを太くできるので、切削面積を増やすことができ、加工時間短縮につながります。
また、フライス加工時の稜線Rは円弧加工やコーナーラウンディングエンドミルの使用が必要となるため、45°に面取り加工をするC面加工の方が、使用工具・加工速度・プログラムの容易さの面でコストダウン効果があります。
加えて、面取り指示では「面取り不可」とすると、必要以上に「ピン角」をねらってしまう為、部品機能上許される範囲(例えばC0.05以下など)の指示を数値ベースで指定します。これにより、加工方法の選択が可能になりコストダウンに繋がります。
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今回は機械加工においてコストダウンを実現する方法をご紹介いたしました。
必要以上の精度を求めすぎず、最適な工程、素材、精度を選定することが、機械加工においてコストダウンを実現するポイントであると言えます。
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