技術コラム
CAD/CAMとは?種類や用途、基本について解説!
CAD/CAMとは
◎CAD (読み方:キャド)
CADとは”Computer Aided Design”の略称で、「コンピューターによる設計支援」という意味です。
PC上で設計や製図を行うソフトを指します。
簡単にいえば、図面を描いたり、モデルを作成することができるツールです。
CADは、ものづくり業界で重要となるツールです。製造・医療福祉・建築・電気・アパレル等、様々な業界で使用されています。例えば自動車・航空部品、建築物・道路、家具や服といった、身の回りのあらゆるものがCADで描かれた図面を基に製造されています。
最近では、CADで設計したグッズを3Dプリンターで造形する等、個人での利用も増えています。
主な機能を次に挙げます。(種類によって内容は異なります)
①作図機能があり、製図(図面の作成)ができる。寸法や注記等の指示も記載可能。
図面は手書きが主流でしたが、デジタル化が進んでいます。
・簡単かつ均質な線を描ける。修正も即座に可能。
・データなので、紙に比べ保存管理・共有がしやすい。
②平面図形から立体形状(直方体・円柱等)を作成できる。
立体モデルがあれば、実際の製品の形状が一目で分かります。また、表面積や体積・重心の計算や、モデル形状を図面に投影する機能もあります。
③製品モデル(立体形状)同士を組み立てられる機能がある。
この場合、部品を”パーツ”と呼び、組立品を”アセンブリ”と呼びます。
左:製図画面(Jw-cad使用)
右:モデリング画面(SOLIDWORKS使用)
◎CAM (読み方:キャム)
CAMとは”Computer Aided Manufacturing”の略称で、「コンピューターによる製造支援」という意味です。
NC工作機械を動かす為の加工プログラムを作成するソフトを指します。※1
簡単にいえば、材料を削るために加工機を動作させるデータを作るツールです。
CAMは、製造現場において重要となるツールです。
プログラムを直接手打ちで作成する場合もありますが、以下の欠点が挙げられます。
・あと何ミリ削ればよいかといったことを、頭で考えながら作成する必要がある。
・自由曲面等の複雑な形状加工では、手計算が困難。
・打ち間違いや勘違いが起こりやすい。
CAMはCADデータが必要不可欠なため、CADとセットで考えられる場合が多いです。
工作機械にもマシニングセンタ・NC旋盤・レーザー加工・積層加工・放電加工機といった種類があり、それに対応したCAMの種類も様々です。
※1:NC=”Numerical Control”の略称で、「数値制御」を意味します。
NCプログラムは、機械(工具やテーブル等)を目的の位置や加工速度に動かすために、記号と数値を使って機械に指令するデータのことです。NCプログラムに従って動作する工作機をNC工作機といいます。なお、プログラムではなく、ハンドルを使って直接工具を動かすのが汎用工作機です。
CAMを使ったプログラム作成の主な流れは、
①CADで作成したモデルを読み込み、加工したい輪郭・形状や素材を選択する。
②工具形状や切削速度といった情報を欄に入力。
③動かしたい工具の軌跡が自動計算される。
④軌跡データをNCプログラムに変換する機能があるので、実行する。
⑤NCプログラムを機械に読み込ませ、機械を動作させる。
工具軌跡生成画面(MASTERCAM使用)
1回の切削量や切削条件等のパラメータ(情報)を入力。
CAD・CAMの種類
CAD・CAMには幾つかの分類があります
① 2D or 3D ※2D(2Dimension)=2次元 3D(3Dimension)=3次元
CAD
2D CAD…図面(部品図・組立図・立体図等)の作成に用いられます。
3D CAD…図面の作成に加え、立体モデルの作成(=モデリング)にも用いられます。3Dモデルから図面への投影もできます。2D-CADより高機能であるため、高価です。
CAM ※細分化すると2.5D等もあります。
2D CAM…2D-CADで描かれた平面図形を基に、2軸の加工データを作成します。
3D CAM…2軸加工に加え、製品モデルを基に、3軸以上の加工データを作成します。
・2軸加工は、工具が縦・横方向に動く加工です(進入退出動作を除く)。
線や円を選び、輪郭加工やポケット加工を行います。
・3軸加工は、2軸に加え、上下動作を同時に伴う加工です。
斜面や曲面を選び、斜め移動を伴う加工や曲面加工を行います。
・5軸加工は、3軸動作に加え、製品を載せた機械のテーブルが同時に旋回・傾斜しながら加工を行うことです。旋回・傾斜どちらかのみを動かす加工は、4軸加工です。
② 汎用or 専用
汎用CADが様々な分野に対応したCADであるのに対し、専用CADは土木・建築・配管等、特定の分野に特化した機能が付いたCADです。例えば建築分野では、窓や扉等がすぐ描けるようになっています。CAMも同様で、ブレード専用CAMや、木工機械NC専用CAM等があります。
③機能面・価格面による分類
機能や価格帯により、ローエンド・ミドルレンジ・ハイエンドの3種類に分けられます。ハイエンドはオプションが豊富で、高精度・複雑な構造部品を設計・加工するのに必要です。基礎習得や個人利用の面ではローエンドでも十分な機能を有しています。
④ソフト構成
CAM単体のものは、CADで作成したデータをCAMで読み込めるフォーマットに変換する必要がありますが、CAD/CAM複合型は同じソフトでCADとCAMを同時に使用できます。複合型の場合、変換によるモデル面の欠落等の不具合が無い為、見直しの必要がなく、便利です。
今回はCAD・CAMの種類や使用方法について簡単に説明しました。
佐渡精密ではCADを用いた図面データの作成も行っています。紙の図面しかない場合や、図面がなく現物しかないというリバースエンジニアリングの場合でも、弊社の設備で測定し3D図面を作成することが出来ます。
2D図面や3D図面に関してお困りの方は是非お問い合わせください!
まとめ
・CADはPC上で製図や設計、モデル作成・組立ができるシステム、CAMはCADデータを基に、工作機械を制御する為のプログラムを作成するシステムです。
・CAD・CAMには幾つかの分類があります。
①2Dで作業するタイプと3Dで作業するタイプ。
②価格帯・機能面による「ローエンド」「ミドルレンジ」「ハイエンド」。
③様々な機能を取り揃えた汎用タイプと、特定の分野に特化した専用タイプ。
④CAD単体、CAM単体、CAD・CAM複合型があり、複合型はCAMにスムーズに移行できる。
・CAD・CAMごとに特徴があり、得意とするものが多様です。
・身の回りのあらゆる製品は、CAD・CAMを基に製造されています。