技術コラム
被削性指数とは?基準や注意点について解説!
被削性の判断基準
被削性とは切削加工においてその素材がどれくらい削りやすいか、という性質のことです。被削性の判断基準としては以下の要素が挙げられます。
・切削抵抗の大きさ
・仕上げ面の面粗度
・工具寿命
・切粉の処理性
・刃物に凝着しやすいか
このように削りやすさに関わる要素は数多く、切削加工はこれらが複雑に絡み合っている加工方法になります。そのため、精密加工や超精密加工のような微細な加工では僅かな条件の違いで仕上りが変わる場合や、同じ切削条件でも工作機械が変わると同じように加工できないということが起こります。
被削性指数とは
そこで、ある素材を基準材として、あの素材は基準材の〇〇%の被削性を持つ、といったように素材同士で被削性を比較するという考え方が出てきます。
この考え方を用いた判断基準の一つに“被削性指数”(Machinability Indices)というものがあります。
“被削性指数”はその素材の切削加工のしやすさである「被削性」を表す指標です。一般的には「硫黄快削鋼(AISI B 1112)が20分で工具寿命に達する切削速度(m/min)」を基準として、対象の素材の同一工具寿命に対する切削速度を百分率で表したもので、正確には”被削性指数率” (通称M.R=Machinability Rating)といい、下記の式で表されます。ここでの「切削速度」とは、工具が材料を削り取る際の速度のことで、通常は「メートル毎分」(m/min)という単位で表されます。
この指数は、材料の加工性を評価する際の重要な指標の一つとされており、異なる材料や工具を比較する際に用いられます。下記表に各素材の参考値を記載します。
被削性指数の注意点
“被削性指数”は下記のような条件では適用できません。
・切削加工の種類が違う(旋削加工↔フライス加工↔エンドミル加工 など)
・切削工具の材種が超硬以外の時(異なる工具材種での比較)
また、被削性指数は実験的に求めた切削速度比になります。そのため切削速度や工具寿命といった“削りやすさ”の参考にはできますが、切粉の処理性などについてはまた別の検証が必要になります。
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今回は被削性指数についてご紹介しました。
精密金属加工VA/VE技術ナビを運営する佐渡精密株式会社は、1970年の創業以来、切削加工を中心に、表面処理、熱処理・研削・組立などを加えた精密金属加工のプロフェッショナルとして、様々な加工を行ってきました。そのお取引先は、医療機器、半導体製造装置、航空機などの、高度な技術レベルを求められる業界のお客様が多く、皆様には大変、ご満足いただいたとの声をいただいております。
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