技術コラム
精密部品加工に用いられる測定機器とは?
測定機器について
機械加工では、製品の品質を保証し、加工精度を維持するために測定機器が欠かせません。高い品質を持つ製品を製造するためには、寸法や形状、表面の仕上がりなどを正確に測定することが重要です。
機械加工の検査に使用される代表的な測定機器について解説します。
金属加工業でよく使用されている測定機器
1. ノギス
ノギスは最も一般的な測定機器の一つであり、外径・内径・深さを測定するために使用されます。アナログ式、ダイヤル式、デジタル式の3種類があり、デジタル式は特に高精度で数値が読み取りやすいのが特徴です。ノギスは操作が簡単で、素早く寸法を測定できるため、多くの現場で活躍しています。
2.マイクロメーター
マイクロメーターは、より高い精度が求められる測定に使用されます。ノギスと比べて精度が高く、0.001mm(1μm)単位の測定が可能なため、厳密な寸法管理が求められる場合に適しています。
3.ダイヤルゲージ
ダイヤルゲージは、製品の平面度や直線度、同心度などの測定に用いられます。主に、機械加工品の面がどれだけ真っ直ぐか、あるいは特定の基準面に対してどの程度ずれているかを確認する際に使用されます。加工部品の組み付けやセットアップ時に欠かせない測定機器です。
4.インジケータ
インジケータは、機械加工や組み立て、測定作業において、物体の変位や寸法の変化、位置のずれを高精度に測定するための測定器具です。主に、機械部品の検査や調整作業、真円度や平面度の確認など、非常に微小な変位を測定する際に使われます。
5.三次元測定機
三次元測定機は、複雑な形状の製品や高い精度が求められる製品の検査に使用される機器です。X、Y、Zの3軸方向にプローブという測定針が移動し、製品の形状や寸法を高精度で測定します。デジタルデータとして出力できるため、CADデータとの比較も容易で、高度な検査に欠かせない存在です。CMM(Coordinate Measuring Machine/座標測定機)とも呼ばれています。
6.表面粗さ測定機
表面の仕上がり具合は製品の品質に大きく影響します。表面粗さ測定機は、製品の表面に触針をあて、その移動量を検出することで表面の粗さを測定します。加工後の仕上がりや研磨の状態を評価するために使用されます。
7.真円度測定機
真円度測定機は、円形部品の真円度や円筒度を高精度に測定する機器です。回転テーブルと測定プローブを使い、部品のわずかな歪みや形状誤差を検出します。主に自動車、航空宇宙、機械加工業界で使用され、部品の品質管理や精度確認に欠かせない装置です。
8.測定顕微鏡
測定顕微鏡は、高倍率の光学顕微鏡に測定機能を組み合わせた装置で、細かな部品や微細な構造の寸法を高精度で測定するために使用されます。一般的な顕微鏡は対象物の拡大観察に特化していますが、測定顕微鏡は観察だけでなく、対象物の長さ、幅、角度、円の直径などを正確に測定できる点が特徴です。
9.輪郭形状測定機
輪郭形状測定機は、部品や製品の外形や断面の輪郭を高精度に測定するための測定装置です。円筒形状や特殊な曲線を持つ製品、階段状の形状がある製品などに適しており、部品の角度やR面の半径を測定できる点が特徴です。
10. 画像寸法測定機
従来の手動測定器では難しかった複雑な形状や多点測定を、誰でも簡単に、かつ高精度で行える画期的な測定機です。また非接触測定が可能なため、壊れやすい製品や、表面の接触に制限のある製品などの測定にも向いています。
11.ワンショット3D形状測定機
対象物の3D形状を一度の撮影(ワンショット)で瞬時に測定・解析できる測定装置です。従来の接触式やレーザースキャン式の測定機とは異なり、カメラやプロジェクタを用いた光学技術を使用して、対象物の形状を非接触かつ短時間で測定します。
加工から測定まで佐渡精密にお任せください!
今回は測定機器について簡単に説明しました。
機械加工において、測定機器は製品の品質を保証するために欠かせない存在です。マイクロメータやノギスのような手軽なものから、三次元測定機や表面粗さ測定機のような高度な機器まで、多様な測定機器が使われており、それぞれが異なる特性や用途を持っています。これらの測定機器を適切に活用することで、高品質な製品を効率的に製造することが可能になります。
機械加工の世界では、測定こそが精度の保証となります。日々進化する加工技術に対応し続けるためにも、測定機器の知識とその活用法をしっかりと身に付けておくことが重要です。
精密金属加工VA/VE技術ナビを運営する佐渡精密株式会社では、技能士資格の取得を奨励しており、QC検定(品質管理検定)などの資格を有した検査員が日々製品の品質を管理しております。