技術コラム
はすば歯車(ヘリカルギア)とは?特徴や用途について解説!
はすば歯車(ヘリカルギア)とは
はすば歯車は英語でヘリカルギアといいます。
歯車としてよくイメージされる平歯車(スパーギア)は歯スジがまっすぐになっているのに対し、はすば歯車はらせん状の歯スジになっており、斜めに歯が切られているような見た目をしています。(図.1)このため斜歯(はすば)歯車と呼ばれています。
このらせんを正面から見て、右肩上がりを右ねじれ、右肩下がりを左ねじれと言い、はすば歯車は右ねじれと左ねじれを一対として噛み合います。
図.1 はすば歯車の外観
引用;小原歯車工業株式会社 KHK歯車技術資料 P3~P4
はすば歯車は歯スジがらせん状になることにより、歯車同士の噛み合い率が高くなるため、歯面の強度は平歯車よりも高くなります。
はすば歯車の特徴
はすば歯車は前述したように歯スジがらせん状になっている事により、連続して噛み合いが行われます。
そのため、回転が滑らかになり、振動が抑えられるので、騒音が出にくいです。
また同時に噛み合う歯数が増え、歯当たりが分散されるため、騒音が軽減し、トルクの変動が少なくなるという特徴があり、比較的高トルクが必要な用途で使用されます。
一方で歯スジがらせん状になることにより、軸方向(スラスト方向)にも荷重が発生するというデメリットもあり、この部分を考慮しないと回転不良や摩耗の原因になります。
はすば歯車の用途
はすば歯車は平歯車に比べて、歯面強度が強いという特徴を持っており、自動車や産業用ロボット、工作機械など様々な機器に必要に応じて使用されています。また騒音が出にくいという特徴から、自動車の減速機などに使用される歯車はほとんどはすば歯車といわれます。(レース用など騒音の影響が無い場合を除く)
また重い負荷にも耐性があるため、発電所などの重工業でも使用されます。
今回は歯車の種類の一つである、はすば歯車(ヘリカルギア)について簡単に説明しました。
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まとめ
・はすば歯車(ヘリカルギア)は歯スジが斜め(らせん状)になっている歯車。
・はすば歯車は平歯車と比較し、静かで強度があります。
・音性や高負荷が必要とされる用途に使用されます。