技術コラム

【表で解説】超々ジュラルミン(A7075)の強度・切削性・用途について

アルミニウム合金の種類

 アルミと聞くと、軽いけどあまり強くない金属というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?確かに純アルミ(A1100など)、汎用的なアルミ合金(A5052など)は強度が高くありません。しかし、ジュラルミン(A2017)や超ジュラルミン(A2024)といったアルミ合金でありながら軽量で高強度を両立した高強度アルミ合金も存在します。今回はその中でもより強度があり、航空機の外装部材や構造部材によく使われる超々ジュラルミン(A7075)について説明致します。

 

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A7075の成分

 アルミやアルミ合金の成分はJIS H4000(板材),JIS H4040(棒材)で規定されており、4桁の番号で種類分けされています。

最初の数字で大まかなグループ分けがされておりA7075が属する7000番台はAl-Mg-Zn系合金に区分されています。

A7075の成分の特徴としてはAl-Mg-Zn系にCu、Crが添加されている合金であることです。

 

単位:%

引用元;JIS H4040:アルミニウム及びアルミニウム合金の棒および線

注1;受渡当事者間の協定によってZr+Tiは0.25%以下としても良い

 

 

A7075の強度

 高強度アルミ合金は調質(熱処理)により強度が得られる材料です。アルミ合金の強度は質別(調質記号)ごとに規定されており、A7075の場合はT6,T651の処理で高強度な材質になります。一方でT7,T73511といった過時効処理は応力腐食割れ性の改善のために施されますが、T6,T651と比較すると強度は落ちてしまいます。

 

【A7075-T6 押出棒の機械的性質】 

A7075-T6 押出棒の機械的性質 引用元;JIS H4040:アルミニウム及びアルミニウム合金の棒および線

 

 

A7075の切削性

 アルミ合金の中では高強度ですが切削できる強度であり、切削加工の難易度の目安の1つである被切削指数は120となっており比較的切削し易い材質になります。

(被切削指数→快削鋼を基準の100とし、数字が大きくなるほど切削性は良好)

 また、他のアルミやアルミ合金で問題になるムシレなどの外観欠点は、アルミの伸びや伸展性によるところが大きいですが、A7075の場合は伸びの少なさから、ムシレが出づらく、切粉も分断され易いので、この点においても切削性は悪くない材質と言えます。

 

A7075の切削性

※AISI B1112 (SUM21;快削鋼 相当)基準

 

 

A7075の用途

 冒頭でも説明したように、A7075は軽量でありながら強度が求められる多様な部品に使用されます。他のアルミ合金より高価なため、強度の必要な場所に絞って用いられる傾向にあります。また強度に反して耐食性は劣っており、使用環境によっては対策が必要になります。

 

・航空機・人工衛星・ロケット・鉄道車両・ロボット・自転車・スポーツ用品(スキー用品、バット)などに用いられています。

 

 

まとめ

・A7075はアルミ合金の1つで超々ジュラルミンと呼ばれ、軽量でありながらアルミ合金の中でトップクラスの強度を持ちます。

・航空機など軽量かつ強度の求められる部品に用いられます。

・切削性に関しては一般的には悪くない材質となります。

・他のアルミ合金に比べ耐食性は劣るので使用環境によっては応力腐食割れなどの対策を要します。

 

 

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