技術コラム

【表で解説】アルミニウムの特徴・種類・注意点について

アルミニウムとは

 アルミニウム製品として缶や1円硬貨、アルミ箔などが思い浮かぶと思います。軽さやサビにくさ、食品に触れても無害といった性質や、熱伝導性や導電性が高いと言った特性からアルミは様々な用途で身の回りの製品に多く使われています。

 アルミニウムはボーキサイトという赤褐色の鉱物から酸化アルミを抽出し、これを電気分解することで純粋なアルミニウムだけを取り出します。このように生産される純アルミニウムは金属の中でも軽く、柔らかい性質を持っています。しかしこのまま使うには強度が足りない場合がほとんどです。そのためケイ素、マンガン、マグネシウムや銅といった金属を添加し、強度を向上させたアルミニウム合金にして使用されています。

 

 

アルミニウム合金の種類

 アルミやアルミ合金の種類と成分はJIS H4000(板材)、JIS H4040(棒材)で規定されており、Aと4桁の番号で種類分けされています。例えばA5052、A2017と表記されます。

 最初の数字で大まかなグループ分けがされており、主要な特徴はここで判別できます。

 

番号

添加元素

特徴

使用される製品例

A1000番台

純度99%以上の純アルミ。耐食性や熱伝導性に優れるが、強度が低く、切削加工は難しい。

1円硬貨、反射板、強度を必要としない家庭用品など

A2000番台

銅(Cu)

強度が高く、切削性に優れる。ジュラルミン(A2017)や超ジュラルミン(A2024)が代表的で鋼材に匹敵する強度を持つ。

銅を含むため耐食性は劣る。

航空機部品、自動車部品、ギア部品など

A3000番台

マンガン(Mn)

純アルミの耐食性を保ちつつ、若干強度が向上された合金。マグネシウム(Mg)の添加で強度を向上できる

屋根材、アルミ缶など

A4000番台

ケイ素(Si)

耐摩耗性や耐熱性を向上した合金。熱膨張率も他のアルミ合金より抑えられている。

シリンダーヘッド、ピストンなど

A5000番台

(A5052、A5056、A5083など)

マグネシウム(Mg)

強度があり、溶接性や耐食性に優れる合金。切削性にも優れており加工材質として主流の合金。

調理器具、燃料タンク、圧力容器、家庭用品など

A6000番台

(A6061、A6063)

マグネシウム(Mg)+ ケイ素(Si)

ある程度強度があり、耐食性がある。押出し加工性が優れており、構造用材質に使われる。

船舶や自動車の構造部材、建築用サッシ、ドアなど

A7000番台

(A7050、A7075)

亜鉛(Zn)+

マグネシウム(Mg)+(銅)(Cu)

※銅は特に高強度の合金系に多く含まれる

熱処理を施すことで高強度化できる合金。日本で開発された超々ジュラルミン(A7075)はアルミ合金の中でもトップクラスの強度を持つ。

反面、耐食性は低い。

航空機部品、自動車部品、ギア部品など

 

 

一般的に強度(引張強度)の強さの順は

A7000番台(Al-Zn-Si系) > A2000番台(Al-Mg-Cu系) > A6000番台(Al-Mg-Si系) > A5000番台(Al-Mg系) > A3000番台(Al-Mn系) > A1000番台(純アルミ)

となります。

 特にA7075のような高強度アルミ合金は鋼材と同等の強度を持たす事ができ、純アルミやアルミ合金の密度は鋼材と比べ約1/3と軽量なので、比強度(密度当たりの引張強度)では鋼材などより大きくなります。

このため、航空機やスポーツ用品のような軽さと強度の両方を求められる用途には、高強度アルミ合金が選ばれることがあります。

 

 耐食性の面では、アルミは純度が高いほど自然にできる酸化層が均一で緻密なためA1000番台の純アルミが優れますが、使用環境によっては3000番台など他のアルミ合金の方が有利とされることがあります。

 一方で強度の高いジュラルミン(A2017)と呼ばれる2000番台系や、超々ジュラルミンと呼ばれるA7075は銅(Cu)を多く含んでおり、耐食性は低く異種金属との接触などでサビやすいです。また使用場所により応力腐食割れに気をつけなければなりません。

 

>>超々ジュラルミン(A7075)についてはコチラ

 

 

アルミニウムの表面処理

 アルミニウムは様々な用途で身の回りの多くで使われています。そのため用途や使用環境を考えた時に必要となる特性を付与するために、様々な表面処理が施されます。

その中のいくつかを紹介します。

 

アルマイト処理

 アルミニウムは何もしなくても表面に酸化被膜を形成する材料ですが、自然にできる被膜は非常に薄いため、キズに弱く、環境によっては壊れて腐食などの原因となることがあります。そこで用いられるのがアルマイト処理です。

アルミニウムを陽極で電解処理すると、アルミニウムに酸素が結合し強固な酸化被膜を形成します。この処理をアルマイト処理と言います。

アルマイト処理する目的には強度や耐食性の向上、装飾としての用途があり、目的によって硬質アルマイト処理やカラーアルマイト処理などいくつかの種類があります。

 注意点としては、電気を通して被膜を形成するため電極(治具)の接点が残ってしまうので、必要によってこの接点の位置を指示しなければなりません。

 また、アルマイトでできる被膜は電気絶縁性があります。用途によっては部品の一部をマスキングし被膜を作らないようにするか、処理後の加工により必要箇所の被膜を取り除くことを考えなければなりません。

 

化成被膜処理

 化成被膜処理とは、製品となる金属を処理液に浸漬して表面に化学的に被膜を析出させる処理の総称で様々な種類がありますが、アルミに対してはアロジンや三価クロメートを使う事が多いようです。この中でも機能や色調の違いによって種類があります。この処理はアルマイトと比べ膜厚は薄いですが導通するため、導通が必要な部品にある程度の耐食性や耐錆性を持たせる事に向いています。また塗装の密着性の向上のため、塗装の下処理としても使用されます。

 

 

アルミニウム加工時の注意点

・アルミニウムは金属の中でも硬さや強度が低い材質になるため、キズや打痕がつきやすいです。外観部品に使用されることも多いため作業環境や取扱いには注意が必要です。

 

・アルミニウムは展延性が高く、融点が低い材質です。切削加工ではその性質から構成刃先や溶着が起きやすい材質になるため、精密な加工を行うためには適切な刃具や切削条件を選択する必要があります。

 

・アルミニウムは酸化被膜を形成しやすく、空気中の酸素と触れると溶融が困難になるので、使用できるシールドガスの種類が限定されます。また融点が低くすぐに溶け落ちてしまうので、アルミニウムの溶接は難しいといわれます。

 

 

まとめ

  • アルミニウムは軽量でサビにくく、導電性や熱伝導性が高いといった性質を持ち、様々な用途で使われています。
  • アルミニウムは強度が低いという弱点を補うため、マンガン、マグネシウムといった元素を添加されたアルミニウム合金として用いられることがほとんどで“A〇〇〇〇”といった4桁の数字で種類分けされています。

 

 

当社のアルミニウム加工事例

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今回はアルミニウムの特徴や種類、注意点について説明しました。

 

 近年では、長年蓄積してきた精密金属加工や部品組立の知識を活用して、多くのお客様に品質を維持しながらコストダウンを行うVA/VEのご提案も行っております。

 精密金属加工VA/VE技術ナビを運営する佐渡精密株式会社は、アルミ専用の大型5軸加工機である「MAG3」を所有するのみならず、1970年の創業以来、切削加工を中心に、表面処理、熱処理・研削・組立などを加えた精密金属加工のプロフェッショナルとして、様々な精密金属加工を行ってきました。そのお取引先は、医療機器、半導体製造装置、航空機などの、高度な技術レベルを求められる業界のお客様が多く、皆様には大変、ご満足いただいたとの声をいただいております。

 

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