技術コラム

アルミ合金の切削加工のポイントについて

アルミ合金の切削加工

 切削加工とは旋盤やフライス盤、マシニングセンタといった工作機械を使い、素材から形状を作り出す加工です。アルミ合金は加工しやすい金属ですが、切削加工においても削りやすい材料であり、様々な部品がアルミ合金の切削加工で作られています。プレス加工や成形加工に比べ複雑な形状も精度よく加工できるという特徴があります。最近の工作機械の主軸回転速度の高速化でアルミの加工条件は進化しています。

 

 

アルミ合金の切削加工品の用途

 アルミ合金の切削加工品は複雑な形状を加工できることや、アルミ合金の様々な特徴を活かして以下のような部品で使われます。

 

軽量化が必要な部品

 アルミ合金は軽量な材質で、鉄やステンレスの約1/3程度の重量です。このため軽量化が必要な部品に用いられることが多いです。

 またジュラルミンといった高強度アルミ合金は比強度(重量当たりの強度)に優れ、航空機部品のような軽さと強度の両方が必要な部品に用いられます。

 

磁場の影響を受けやすい機械部品

 アルミ合金は非磁性体で磁場に影響されない金属です。このことから磁場の影響を大きく受ける医療機器、メカトロニクスの複雑な形状の部品に用いられます。

 

熱伝導性が必要な部品

 アルミ合金は鉄の約3倍の熱伝導性を持ち、熱を伝えやすい材料です。このため高熱伝導が必要で複雑な形状の放熱フィンやヒートシンクなどの部品に用いられます。

 

導電性が必要な部品

 アルミは導電体としても有利な特性を持っています。電気伝導率としては銅の60%ほどですが、重量は銅の約1/3になるので重量当たりだと約2倍の電流を通す事ができ導電体として経済的といえます。このためエネルギー利用やエレクトロニクス部品に使われます。またアルミの表面処理であるアルマイトを施すと表面は絶縁体になるため、導通が必要な部分にマスキングを行ったり、アルマイト後機械加工で素地を出すことで必要な部分だけ導通を取るといった設計もあります。

 

低温環境で使われる部品

 アルミ合金は低温環境に強く、上空や液体窒素を扱う環境でも脆性破壊(延びずに破壊)せず、延性の大きな材料です。このため、航空宇宙関連や極低温が必要になる超電導関連といった分野の複雑な形状部品に使われます。

 

 

アルミ合金の切削加工のポイント

 ここではアルミ合金は金属の中では軟質で削りやすい被削性の良い材質ですが、切削加工において気をつけなければならないポイントを6つ紹介します。

 

溶着

 アルミは延性がとても大きく、融点も低いため、微細な切粉やバリを巻き込むと加工面に溶着し外観の品質を低下させる恐れがあります。クーラントなどにより切粉を残らないようにする対処が必要です。

 

構成刃先

 アルミ合金の溶着は加工熱により切削工具の刃先にもできることがあり、切削工具の代わりに加工面を削ってしまいます。これは構成刃先と呼ばれ、付着と脱落を繰り返し、精度不良や加工面の品質低下の原因になります。また脱落するときに刃先を欠けさせる、といったトラブルの原因にもなります。構成刃先は一定の切削温度以上になるとできなくなるので、適切な切削条件を設定することで対処できます。また切削工具の工夫として付着しづらい刃先形状やコーティングを選定することも重要です。

 

熱膨張

 アルミ合金は熱膨張係数が大きいため、温度変化による寸法変化の影響が大きな材料です。このためクーラントによる冷却は重要となります。また高精度を求められる場合は寸法測定時の温度を考慮した補正が必要になります。

 

切粉の長尺化

 アルミ合金は延性の高い材質なので切削加工で出てくる切粉が長くなります。これは加工工具やワークに絡み、精度不良や工具破損などのトラブルを引き起こします。特に粗加工やドリル、タップの加工時には切粉によるトラブルが起こりやすいので、切粉を分断しやすい切削条件や加工工具の動かし方の工夫が必要です。

 

加工変質層

 アルミ合金は軟質な金属で、加工による力で表面に材料内部と異なる性質の加工変質層を生成しやすい金属です。この加工変質層では加工硬化や残留応力のような特性も変化していることが多く、反りや歪みといった形状不良の原因になり、薄肉の部品ではその影響も大きいです。対処として切削条件や加工の順序で改善できる場合もありますが、粗加工後に応力除去を目的としたアニール処理を施すなど工程の見直しが必要となる場合もあります。

 

軟質材

 アルミ合金は他の金属と比べると軟質であり、強度の低い部類の材質でキズや打痕が付きやすいです。

外観部品に使用されることも多いため作業環境や取扱いには注意が必要です。

使用用途で外観面となる部分には予め、図面に外観面の指示が必要で、加工面に対し保護フィルムを貼りつけたりするケースがあります。

その他の対策として、硬質アルマイト処理で表面を硬化させる方法もあります。

 

 

 

まとめ

・アルミ合金は切削しやすい材料で、切削加工では複雑形状の部品に用いられます。

・アルミ合金の特性を活かして様々な分野の部品に用いられています。

・アルミ合金の切削加工で高精度加工を行うには、構成刃先や熱膨張しやすいといった特徴を理解して加工する必要があります。

 

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 精密金属加工VA/VE技術ナビを運営する佐渡精密株式会社は、アルミ専用の大型5軸加工機である「MAG3」を所有するのみならず、1970年の創業以来、切削加工を中心に、表面処理、熱処理・研削・組立などを加えた精密金属加工のプロフェッショナルとして、様々な精密金属加工を行ってきました。そのお取引先は、医療機器、半導体製造装置、航空機などの、高度な技術レベルを求められる業界のお客様が多く、皆様には大変、ご満足いただいたとの声をいただいております。

 

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